1.地域内炭化システムの構築

1.地域内炭化システムの構築

本取組の概要
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 バイオ炭による炭素貯留を持続的に行うには、二酸化炭素削減効果が高く、低コストによるバイオ炭づくりが必要です。つまり「地域内炭化システムの構築」です。特に、バイオ炭の原料としてのバイオマスや炭化手法の選択が、二酸化炭素削減効果(炭化率・炭素率・LCA)およびコストに大きく影響を与えると言われています。そこで、立命館大学地域情報研究センター・京都学園大学を中心に、バイオ炭の原料のバイオマスや炭化手法(炭化率・炭素率・分析方法等)の研究を通じて、二酸化炭素削減および経済性の効果の高いバイオ炭づくりのしくみを研究しています。


2009年度の取組
① 簡易炭化によるバイオ炭製造実験

 農地へのバイオ炭を通じた炭素貯留に至る、「地域未利用バイオマスの回収」→「炭化」→「バイオ炭とたい肥との混合」→「バイオ炭たい肥の農地への施用」のプロセスの中で、「炭化」の段階における炭化手法として、簡易炭化に着目し、炭化効率と費用の分析を通じて炭化手法としての有効性を評価しました。

実験方法

・ 実験期間:2009年7月9日〜2010年5月11日
・ 供試炭化器:株式会社モキ製作所製M150(参考URL:http://moki-ss.co.jp/index.php?id=13

    モキ製作所製『無煙炭化器 M-150』          無煙炭化器による炭化のメカニズムモキ製作所製『無煙炭化器 M-150』 無煙炭化器による炭化のメカニズム

・ 供試原料:保津町内竹材店の未利用竹材
・ 評価項目:炭化効率、費用
・ 実験工程:以下のような工程で実験を行った。

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実験結果

・炭化工程の内訳と炭化時間

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・費用の内訳

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炭化効率:
今回使用した炭化器の炭化効率は、約29時間/㎥-dry biocharであった。他の簡易炭化では、ドラム缶炭化では、8時間/0.2㎥(杉浦・広若、2004)、簡易軽量炭化炉では約6時/0.2㎥((石井、2008)であり、これを1㎥あたりに換算すると、それぞれ約37時間、約31時間となる。炭材の種類や状態により単純に比較することはできませんが、他の簡易炭化手法に比べて、本実験で用いた炭化器は炭化効率が高いことが示唆された。

費用:
市販品(¥443/kg)より低価格であることが示された(今回のバイオ炭:¥245/kg-dry biochar)。

 以上のことから、今回実験で用いた炭化器は、炭化効率が高く、また、市販品のバイオ炭よりも低価格にバイオ炭が得られることが示されました。ただし、現状のバイオ炭生産価格では、農産物価格の実態からは高価すぎて非常に使いづらいと考えられます。今後とも同実験を繰り返すことで信頼性あるデータの蓄積を目指すとともに、バイオマス集積から農地炭素貯留までを考えたライフサイクル全体の研究を通じた二酸化炭素削減効果の検証および経済性の評価が必要となります。

2010年度の取組
①バイオ炭の原料としての竹林に着目したライフサイクル評価に関する実験

 保津町周辺地域は、管理放棄された竹林が地域を悩ます問題となっています。その一方で、再生速度の早い竹は、バイオ炭の原料を持続的に入手する手段として、有望であると考えられます。私たちはこの竹に着目し、竹林整備から炭化経て、農地への貯留へ至るライフサイクルアセスメントを考慮した上での、二酸化炭素削減効果と経済性の評価を行う実験を、2010年度より開始しました。

     管理放棄されて荒れた竹林       効率的な竹林整備が可能な機械ブッシュチョッパー炭化工程の内訳と炭化時間

実験結果

実験継続中

今後の課題

 今後の課題としては、農地へのバイオ炭の貯留に至るまでに、種々の竹林をはじめとする原料バイオマスや炭化手法をシナリオとして想定し、ライフサイクルアセスメントの観点から、二酸化炭素削減効果やコストの検討を行っていく必要があります。