3.クルベジ®認証システムの構築

3.クルベジ®認証システムの構築

本取組の概要
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 古くから国内では、木炭やもみ殻炭などバイオ炭の農業利用は行われてきましたが、炭素貯留という観点からのバイオ炭の施用(通常よりも大量施用を想定)は行われてきませんでした。この大量施用は必然的にバイオ炭の使用による農業生産コスト高を招きます。このコストを求償するには、現状の国際間取引価格であるカーボンクレジット(二酸化炭素取引)価格では非常に難しいと考えられます。そこで、バイオ炭による炭素農地貯留を行った農地で栽培された農作物のブランド化によるコストの回収が必要になります。そこで考え出されたのが、炭素貯留を目的としたバイオ炭施用による炭素貯留農作物ブランド「クルベジ®」です。一方、近年高まる消費者の安心・安全志向を考慮すると、農作物の生産規範等の安全性の評価が、地域ブランド農作物には必須となります。炭素貯留認証と合わせて、炭素貯留を行った農地で生産される「クルベジ®認証」システムの構築が必要です。京都学園大学が中心となって、バイオ炭の施用農地における作物に対する評価、立命館大学地域情報研究センターが中心となって農産物生産規範から販売および消費者意識調査等の研究を行い、社会システムとしての構築をすすめています。


2009年度の取組
①安全性評価のための作物栽培実験

 農事組合法人ほづの所有する保津町内の圃場に、牛ふん、籾殻、食物残滓等を原料としたたい肥(亀岡市農業公社『さくら有機』)とバイオ炭の混合比が異なる区画を設けた上で、作物の栽培を行い、バイオ炭が及ぼす影響を検討する実験を開始しました。

実験方法

対象圃場:農事組合法人ほづの所有する圃場30aにバイオ炭たい肥の施用量の異なる区画を設計(下図参考)。
対象作物:コムギ(農林61号)
試料の性状

実験結果

 バイオ炭の施用量が多い区画ほど、倒伏が抑えられる傾向がみられたものの、バイオ炭の施用量と地上部の収量の間に有意な相関関係はみられなかった。

2010年度の取組
①安全性評価のための作物栽培実験

 昨年度から継続して、バイオ炭を施用した農地における、作物に及ぼす影響について検討しました。今年度は、イネ・ネギ・キャベツの3種を対象作物としました。

実験概要
期間:平成21年11月1日~平成22年3月31日
その他、圃場面積、試料の施用量は以下の図を参考。
圃場面積 試料の施用量
実験結果
◎イネ(品種:キヌヒカリ)

バイオ炭の施用と収量の間に有意な差異は見られなかった。

◎ネギ(品種:栄洛黒ネギ)

バイオ炭の施用と収量の間に明確な有意は見られなかった。

◎キャベツ(品種:恋風)

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 地上部生重量・胴回りに関してはどの区画においても有意な差はなかった。高さはT=1(12.5cm)に対して、CM=4(15.3cm)、CM=5(13.9cm)、CM=6(13.9cm)は有意に高く、さらにCM=4は、CM=5、CM=6より有意に高かった。直径は、T=1(17.4cm)より、CM=4(19.2cm)の方が有意に長かった。

まとめ

 キャベツに関しては、バイオ炭を施用した区画の方が、慣行栽培より有意に収量の向上がみられました。その一方で、その他の作物はバイオ炭の施用と収量の間に有意な差はみられませんでした。このことから、今回の実験におけるバイオ炭の施用規模では、少なくとも慣行栽培との比較の上では作物に影響はなく、同施用量での炭素貯留を目的としたバイオ炭の施用は可能であると考えられます。

2011年度の取組
①クルベジ®認証システム構築のための協議

 2011年4月より、立命館大学地域情報研究センターは、クルベジ®認証システムの構築に向けて、関係者の方々との協議を開始しました。現段階では、生産農家はまず、農地に対して炭素貯留認証(参考:2.炭素貯留認証システムの構築)を受け、その後クルベジ®の商標通常使用権設定契約を結ぶという流れを想定しています。また契約に際しては、エコファーマー認定と同等の安全性を担保する生産規範を設けるなどの付随事項を想定しています。

今後の課題

 今後の課題としては、これまでに行ってきた実験規模でのバイオ炭の施用を継続した際に、作物に及ぼす影響を検討していくこと、生産者が規定を遵守することで、クルベジ®ブランドがしっかりと保証されるシステムとして構築できるよう、協議を重ねていく必要があります。