2.炭素貯留システムの構築

2.炭素貯留システムの構築

本取組の概要
本取組課題の位置づけ本取組課題の位置づけクリックで拡大します。

 炭素貯留認証は、バイオ炭の施用による炭素貯留を、農地に対して認めるもので、同時にこの認証によって、同農地からのカーボンクレジットの発行が可能となります。つまり「炭素貯留認証システムの構築」への重要な手順です。そのためには、農地へのバイオ炭施用による温室効果ガスの削減効果の検証、モニタリング手法の検討等、基礎的な実験が必要となります。そしてこれらに基づいて、炭素貯留の検証・認証のための、炭素貯留用のバイオ炭の認定および農地におけるモニタリングの手法・体制等システムとしての構築が必要となります。京都大学が中心となって、農地へのバイオ炭施用による温室効果ガスの削減効果の検証、日本バイオ炭普及会(JBA)が中心となって、モニタリング手法の検討、立命館大学地域情報研究センターが中心となって、社会システム構築の研究を行っています。


2009年度の取組
①農地へのバイオ炭施用による温室効果ガス発生の影響と炭素貯留量計測実験

 農林水産省「土壌炭素の貯留に関するモデル事業」の一環として、農地へのバイオ炭施用による温室効果ガスの発生状況と炭素貯留量を計測する実験を開始しました。試料の施用に伴う土壌中の炭素貯留量と、温室効果ガスの吸収・排出量を測定することで、正味の温室効果ガス削減量を算出しました。

実験方法

期  間:2009年8月31日〜12月22日(114日間)
場  所:京都府亀岡市保津町内の畑作圃場

試  料:試料の性状
試料の性状

圃場準備の様子    実験圃場の概要圃場準備の様子クリックで拡大します。

圃場設計:
区画1)無施用・無栽培(コントロール)
区画2)たい肥・栽培
区画3)バイオ炭・たい肥・栽培
以上、3区画×4繰り返しのランダム配置による、合計12処理区の設計

分析方法:

・土壌中の炭素分析→採取した土壌試料をCNコーダーにて全炭素濃度を測定。
・温室効果ガス分析→クローズドチャンバー法にて採取したガスをガスクロマトグラフにより測定。


結果と考察

コントロール区、たい肥・栽培区、バイオ炭・たい肥・栽培区の比較から以下の結果が得られた。

○土壌中の炭素量変化  

・たい肥区で施用時の約87.5%、バイオ炭・たい肥区で約68.9%の炭素量が残存した。
 →コントロール区と比較して、たい肥区は0.26t-C/10a、たい肥区と比較して、バイオ炭・たい肥区
 は1.91t-C/10aが新たに土壌中へ炭素が貯留された。
 →たい肥区と比較して、バイオ炭・たい肥区はより土壌中の炭素残存率が低かった。

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○温室効果ガスの吸収・排出量

・たい肥区と比較して、バイオ炭・たい肥区はCO2放出量に有意な差はみられなかった。
 →たい肥よりバイオ炭が分解促進された可能性は低く、作土層(10cm)以下、
 もしくはその他の経路よりバイオ炭が流出したとみられる。
・N2Oはコントロール区と比較して、たい肥区、バイオ炭・たい肥区で約3倍の放出量であった
 (360-400mg N/10a)

 →それぞれの炭素貯留量を炭素換算で、39.3%、4.8%相殺する。

・CH4は検出限界以下であった。

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結論

 以上の結果から、農地へのたい肥、バイオ炭・たい肥施用による温室効果ガス削減効果を二酸化炭素換算で算出するとそれぞれ、0.78t-CO2/10a、6.73t-CO2/10aとなった(N2O放出分除去済)。このことから、バイオ炭の施用は非CO2温室効果ガスの影響を考慮してもなお、温室効果ガス削減手段として期待できることが把握できた。しかしながら、今回の調査から施用したバイオ炭が作土層以外に流出すること、N2Oの放出が土壌条件に大きく影響を受けることが示唆されたため、より正確にバイオ炭による温室効果ガスの削減効果を検証していくには、これらに関して今後より詳細に検討していく必要がある。

2010年度の実験・調査

 2009年度に引き続き、農地へのバイオ炭施用による炭素貯留効果を検証する実験を行いました。今年度は、昨年度の圃場において継続的に観測を行うとともに、京都大学内の圃場においてバイオ炭およびたい肥の土壌中における動態および異なる土壌条件におけるN2Oの放出メカニズムを詳細に検討する実験を開始しました。

①農地へのバイオ炭施用による温室効果ガス発生の影響と炭素貯留量計測実験
◎保津町内の圃場での実験
実験方法
昨年度と同様の手順でモニタリングを継続(〜2010年8月11日)
※なお、2010年度は試料の施用は行っていない。
実験結果
現在取りまとめ中
結論
現在取りまとめ中

◎京都大学の圃場における実験

・バイオ炭およびたい肥の土壌中における動態の検討
・異なる土壌条件におけるバイオ炭およびたい肥のN2O放出に関する影響評価

実験方法

場  所:京都大学内の圃場
期  間:2010年9月〜2011年9月
分析内容:・土壌カラム中の土壌炭素の分析
・土壌カラムから放出される温室効果ガスの連続観測
・ライシメーターによる土壌溶脱水中の炭素・窒素の測定

結果と考察
現在取りまとめ中
結論
現在取りまとめ中
2011年度の実験・調査

 今年度も引き続き、バイオ炭による温室効果ガス削減効果を検証する実験の継続を行うとともに、モニタリング手法の検討、炭素貯留認証のための手順、規格、申請書等の書類作成の協議を開始しました。

①農地へのバイオ炭施用による温室効果ガス発生の影響と炭素貯留量計測実験
◎保津町内の圃場での実験
実験方法

 2010年8月11日以降、2ヶ月おきにガスサンプリング。2011年8月)

※なお、2011年度は試料の施用、肥培管理は行わず、マルチと草引きによる雑草管理。

結果と考察
現在取りまとめ中
結論
現在取りまとめ中

◎京都大学の圃場における実験

現在実験継続中。

②炭素貯留システム設計会議

 2011年4月以降、立命館大学地域情報研究センターでは、「炭素貯留認証システムの構築」に向けて関係者の方々と協議を行いました。協議では、認証までの手順の踏み方や、バイオ炭の施用前の検査手法、施用後のモニタリング手法などが議論の中心となりました。

今後の課題

 今後の課題としては、圃場におけるこれまでの実験を継続することで、農地へのバイオ炭の施用による温室効果ガスの削減に至るメカニズムを解明していくとともに、炭素貯留認証システムの構築に向けて、協議を重ねることで、科学的な根拠を伴いながらも、いかに炭素貯留の実施者に負担(コスト面・作業面)のかからないシステムとしていくことが必要とされます。